My books
I wrote autobiographies, texts for Christians and churches, and some others.
Now, I am writing a novel.
AUTOBIOGRAPHIES
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2011年3月11日の東日本大震災~原発事故の体験も詳細に記録した待望の新刊、ついに刊行!
かつてNHK教育テレビにも取り上げられた、金本牧師の自叙伝『明日はどっちだ』から10年。
本文から
「原発が爆発したぞ! 今すぐ逃げろ!!」
うそやろ、としか思えなかった。すぐには信じられなかった。原発が爆発したってことは、原子爆弾が落とされたようなものじゃないか、それは、長崎・広島の二の舞ではないか、そんなバカな、そんなバカな、そんなことがあっていいのか、有り得ない、ウソだろ、ウソだと言ってくれ、本当だったら、ああ、そんな、そんな、そんな……!
どうにも出来ない無力感に包まれた。もう死ぬんだ、と思った。一緒にニュースを見ている子供達を見て、私は言った。「祈りなさい。せめて……苦しまないで死ねるように」と。
書評②
小説みたい、『明日はどっちだ』
金本友孝先生(当時:いわきホームチャペル牧師)が本を書いた。『明日はどっちだ』という処女作である。読んでみた。面白い。身内褒めでなく、本当に面白い。これなら売れる。
版元のいのちのことば社が、一般書店に出したいと言っているそうだが、その気持ちは分かる。店頭に平積みにしたら、どんどん売れそうである。
第一、読みやすい。読んでみて一番に驚いたのは、金本先生は大衆文芸(大衆文学ではない)の腕があるなあ、ということである。
第二、面白い。在日韓国人三世、髪を金髪に染めて、ロックのギターを弾く。たしか、長い髪を三つ組みに組んで、赤いリボンをつけていた写真を私も見たことがある。その彼が今は牧師! へへへー?と恐れ入らざるを得ない。
第三、小説みたいだ。伏線があって結末がある。先生の自伝に間違いはないが、自叙伝と呼ぶのはちょっと堅苦しい。身の上話ですね。
第四、情緒がある。これが韓国人の書いた日本語の文章と言えば、びっくりする人も多いと思う。しかし当然である。彼のメンタリティは完全に日本人。日本人特有の情感を持っている。それが、そこはかとなくやるせない通奏低音となって読む人を包む。
第五、深く考えさせられる。ここはマジ。何度も言うように彼は在日韓国人三世である。両国の持っている厄介な関係を生まれながらに身に背負っている。何よりも彼自身が、自分のアイデンティティ(自己確認)に苦しみ、あわてる。だから「明日はどっちだ」と、どっちつかずになる。単一民族的日本人の私たちに、もう一度考えさせるものがある。
皆さん、ぜひお読み下さい。面白いから。
故:釘宮義人
キリストの福音大分教会牧師
出版社の紹介文から
いったい、自分は何者なのか?――日本人とも韓国人とも言いきれない「在日」という境遇。エリートでも極道でもない人生。そんな「中途半端」な男は、悩み苦しみながら、どんな明日を探し求めたのか。そして彼を変えた出会いとは?
腰まで届く金髪のカーリーヘア、派手な服装で音楽活動に明け暮れていたという、異色の経歴をもつ牧師の半生記。
書評①
「半日本人」が見つけた「生きる意味」
本書では一貫して、自分のアイデンティティの追及と、在日韓国人という日本人ではない、韓国人でもない、パンチョッパリ(半日本人)と呼ばれる、どこにも身の置く場のない、中途半端な存在に対する心の葛藤がつづられています。私は、著者と同じように在日の牧師であり、本書に込められた著者の思いが痛いほどわかります。在日の気持ち、心の叫びは在日にしか理解できないと思うのです。
私は、読み進むうちに自分自身と重なり、涙が止まりませんでした。著者が幼少の頃、母親に将来に希望を持ってはならないと言われたというくだりが書かれています。この言葉は、在日の現実を表現しているのではないでしょうか。
私は今、在日のお年寄りのための福祉団体「サンボラム」で奉仕をしています。ハルモニ(韓国語でおばあさん)たちの体験談は涙なしでは聞けません。著者が牧師として韓国に行かれたとき、ある祈祷院で信仰をもって間もないハラボジ(同、おじいさん)が語りました。「韓国はキリスト教の国だ。しかし、そんな国でも、ワシのような老人がクリスチャンになるのは非常に難しいことだ。なのにおまえは、クリスチャンの少ない、差別や苦労の多い日本で韓国籍を持ったまま生きて、牧師になって、ここまで来たのか、おまえは、本当の愛国者だ。」(178頁)私は、この箇所で思いっきり声をあげて泣いてしまいました。
また、さすがは牧師です。本書のよいところは、在日韓国人のエレジーだけで終わるのではなく、天の故郷をもって締めているところでしょう。
本書を通して私は生きる力を注がれました。在日でよかった、クリスチャンでよかった、牧師でよかったと。また同時に自分は在日でも日本人でもパンチョッパリでもない。自分は旅人であり、天国人である。著者のご子息の名前のように、天人(ひろと)「天国を待ち望む人」としての、最高の希望を読むすべての人に与える感動の本です。
より多くの在日の方に、また日本人に、そして韓国本土の人にも読んでもらいたいと思います。
松田 高夫
単立 大阪キリストチャペル 牧師
第18回報徳出版文化賞・優秀賞受賞…概評 受賞理由
昭和60年に、いわきにおける出版文化の向上をめざして創設された「報徳出版文化賞」も18年目、第18回を迎えた。
これまで最優秀賞は、第4・8・12・14・16回にそれぞれ1点づつ出ているが、本年は、残念ながら選出を見なかった。
第18回報徳出版文化賞は最優秀賞は逃したものの優秀賞3点をかちとったのは喜ばしい。電子機器による自己流造本の氾濫が、伝統ある日本の印刷出版文化を危機に晒している。それに輪をかけ、社会全体の凋落を反映して軽量度の高い出版内容、安価な費用を求めるあまり造本バランスの崩れた図書が続出している。デフレ経済の真只中では、出版文化さえも前に進むことは難しいのが現状のようである。
…中略…
『明日はどっちだ』は、妙なタイトル、奇なカバー絵、そして帯の変な文意、と読者を引きつける手法は満点。この怪は、一読すると快にかわる。
挿図の配列にやや難点があるものの、生活史上の事象を拾捨し、画期に焦点を絞り、飾り気のない素直な言葉で綴っているのが共感を呼ぶ。在日三世の前向きな生き方には、選考委員の心が洗われた。
…中略…
今回の応募作品には、佳作が揃っており、賞の枠内に組み込みたいものも少なくなかった。しかし、賞をとるには、他よりも一歩抜きん出た出版文化への思い入れが必要であることを付記しておく。
受賞理由
在日韓国人に対する即解決の難しい問題はあるが、本書の根底にあるのは、希望をもちつづけ、前向きに歩いてきた一人の人間の「生き方」であり、負けてたまるかとの精神のみなぎりが行間に谺する。文体に衒いがないので、読後すがすがしさを感じる。
応募図書には中高年者が多い中、40才にしての半生記は新鮮である。